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堕天使の楽園 INTERMEZZO




                      【ひるね】

「ロックオン、ちょっと寝かせてください」

 とアレルヤが来る。

 ブリーフィングの後、夕食の前、ふらりと来て、ライルのベッドに横になる。

 ライルが、ティエリアに出された宿題に四苦八苦しているというのに、気にもしない。

 30分くらい。すかーっと寝る。時には軽くいびきをかく時もある。

 アレルヤは忙しい。刹那とティエリアとミーティング、スメラギと戦術プランの検討、イアンとガン

ダムの整備、ラッセと筋トレ、フェルトの手伝い、掃除をしてハロと遊ぶ。

 ライルのベッドでハロと寝ている。

 ライルは、枕元に座りこんで無心な寝顔を眺める。


  ーなんで、わざわざ、こんなところまで来て眠るんだろう。

  意外と俺は好かれてるのかな。

  ・・・キスしてもいいよな。ここ俺の部屋だし。

  眠り姫にキスをするのは、王子の役得、いや、役割だもの。


 顔を近づけたら、アレルヤが目を開けた。

「いや、俺は、その・・・」

 あんまりなタイミングにちょっと慌てる。

 残念だな、と思いながらコーヒーメーカーをセットする。思い切って聞いてみる。

「なあ、なんでここに来て寝るんだ?」

「なんだか、一人だと眠れなくて。以前はハレルヤがいたから、そんなことなかったんだけど」

「アロウズに捕まってた時はどうしたんだ?」

「看守さんにね、24時間監視されてた」
 
 その看守にちょっとむかつく。

「なんで、俺の部屋なんだよ」

「だって、トレミーの中であなたが一番暇そうだから。迷惑かからないでしょ」

「・・・」

「今何時?」

 アレルヤは、上着に袖を通す。

「コーヒーは?」

「また今度」

出て行こうとする上着の袖をそっと掴む。

「キスは?」

 黒い髪がふわりと揺れて、柔らかい唇が頬に触れる。

「アレルヤ、今夜、来る?」

「また、お昼寝させてくれる?」

「しかたないな」

 掴んだ袖を離す。ドアが気の抜けた音をして閉まる。

 さあて、夜まで何をして時間をつぶそう。



>了 2009/10/25



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