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どうして



「どうして」

 こんなことになっているのだろう。僕は、回らない頭で考えていた。

 ここはロックオンの部屋。明かりを落としたベッドの上。僕はロックオンの腕の中にいる。

「アレルヤ」

 吐息とも囁きともつかない声で名前を呼ばれる。

「どうして」

 それだけで体が熱くなるんだろう。

 薄いシャツ越しにロックオンの体温を感じる。きっと、僕の体温が上がっていることも鼓動が速くな

っていることも知られている。そう思うと恥ずかしさにまた、体が熱くなる。

「アレルヤ」

 ロックオンの唇が、額に触れ、頬に触れる。幼い子供にするような優しいキス。眼を閉じると、瞼の

上にも柔らかい唇が触れてくる。前髪をかきあげようとする指をあわてて止める。

「それは、だめ、です」

 素直に指が頭から離れ、代わりに顎をとらえられた。

 唇に唇が重なる。それは、少し湿っていて柔らかい。僕はこんなに柔らかいものを他に知らない。

 甘くキスをしながら、ロックオンの手は巧みに僕の体を撫でまわす。ベルトの外れる金属音がする。

 嫌だ、恥ずかしいって言いたかったけれど、唇をふさがれていては声もだせない。

 第一、キスだって普通のじゃない。柔らかく押し付けてきたかと思うと、舌が入ってきた。誘われる

ままに、僕はそれを受け入れた。ゆるく絡めたかと思うと強く吸われ、頭のなかがぼうっとする。彼の

舌は粘膜を舐め、歯をなぞり、余すところなく口内を知ろうとした。

 僕は、それに応えるのに精いっぱいで、ただ、ロックオンに縋りつく。

 息が続かなくなって、軽く喘ぐと、いきなりキスが解かれた。と、思う間もなく、僕はバンザイをさ

せられ、首からシャツを抜かれていた。

「ロックオン、やだ」

 慌てて抗議しようとすると、再び唇をふさがれる。そして、胸元に手が触れてきた。

「どうして」

 そんなところに触れるんだろう。僕は女の子じゃないから、柔らかい乳房なんて持ってない。

 それなのに、感じてる。

 小さな乳首にロックオンの指先が触れている。指先は乾いていて少し硬い。

 くすぐったいうような、じれったいような感じ。

 指が置かれているそこが、だんだん熱くなってくる。それを鎮めてほしくて、でもどうしたらいいの

かわからなくて、ロックオンの舌を吸ってしまう。

 すると、ロックオンの指が僕の乳首をきゅっと摘んだ。それから指先で押しつぶすようにしたかと思

うと爪の先で強く掻く。

 自然に背中がのけぞってしまう。唇が離れて、声が漏れる。

「どうして」

 そうしてほしいと、ロックオンにはわかってしまうんだろう。

 ロックオンは、僕の乳首を弄びながら、首筋にキスを落とす。

「どうして」

 そんなことが、気持ちいいんだろう。

「質問ばかりの、アレルヤ。何が知りたいの?」

 甘い声。翡翠の瞳は濡れていて、形のよい唇から白い歯が覗いている。

「どうして、僕にこんなことを・・・」

「それはさ」

 ロックオンの唇が、僕の体中に優しく触れる。

「お前の柔らかい頬に触れて、すべすべした項を舐めて、可愛い乳首を弄って・・・しなやかな背中を

楽しんで、それから・・・」

 背筋がぞくぞくして、腰の後ろが熱くなる。堪え性のない僕は、もう勃ちあがりかけている。

「ここを味わって・・・」

 ロックオンは溢れる蜜を啜ると、先端を口に含んだ。弾力のある舌が、絡みつく。

「あ・・・あっ」

 あからさまな快楽に、僕は首を振り、熱い息をついた。

「ここにも触って・・・」

 濡れた指先がお尻の奥に伸びてくる。脚を開かされ、奥の方まで視線にさらされる。そんなところ

は、ハレルヤだって見たことないはずだ。恥ずかしいのに、脚に力が入らなくて、されるがままになっ

ている。

 僕の先端から、とろり、と滴が溢れるのを感じた。

 奥に熱い息がかかり、柔らかいものが触れ、舌で弄られる。

 恥ずかしいのと、感じるのとで腰が、びくん、と動いてしまう。

「や・・・あ・・・あん」

「喘がせて・・・アレルヤのこと全部知りたいからだよ」

 その瞬間、僕は自分の答えも手に入れる。

 ロックオンを教えてほしくて、こんなにも僕の体は疼いているんだって。

「僕もあなたのこと、全部知りたい」



 そして、僕らは、互いを深く知ることに夢中になった。






>了  2009/7/8

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